特集: ビジネストラベルiQ
Nokia 3310を覚えていますか? 10年前、このモデルは世界でもっとも売れた携帯電話であり、Nokiaは疑いようもなく携帯電話業界の「巨人」として君臨していました。2007年、iPhoneが登場すると、同社のデベロッパーたちはこの世間を騒がせる新機種がもろく、落としただけでスクリーンにヒビが入るのを見て、こんなものが世に普及するわけがないと請け合わなかったというのは有名な話です。こんなに壊れやすいデバイスがユーザーに受け入れられるわけがないと彼らは考えたのでした。しかし、今日、何百万人ものモバイルユーザーたちが(私も含めて)、iPhoneのスクリーンにヒビが入っていてもお構いなしに使っています。Nokiaはマイクロソフトの傘下に入ることになりました。そして、iPhoneは、今やマイクロソフト全体よりも大きく成長しています。これはわずか数年の間に世界がモバイルへ移行したペースと勢いをよく言い表した逸話です。
モバイルは流行ではなく、考え方そのものなのです。私たちの生活にはモバイルデバイスやアプリが深く浸透しており、私たちがモノやサービスを買う企業にもこの流れを理解し、私たちの生活が快適になるよう配慮して欲しいと望んでいます。旅行とは「移動中」の処理の集合体であることを鑑みると、モバイルテクノロジーと旅行は極めて近い存在と捉えることができます。CWTが最近実施したアンケートによれば、トラベルマネージャーたちは、今後12か月間でもっともトラベルプログラムに多大な影響を与えるのはモバイルテクノロジーであると回答しています。標準のビジネストラベラーが一日にスマートフォンを確認する回数は34回にも上るという調査結果があります。[1]つまり、そこには、業務渡航を扱う抜け目のない企業の狙う機会がいくらでも転がっていることを意味します。
現在、旅行者がモバイルに対して抱く期待は、その現状をはるかに超えています。TMCは自社のモバイルアプリを提供されるべきであると、ほとんどのビジネストラベラーは感じています。アンケートの回答者のうち、61%のトラベラーがトラベルプログラムの一部としてモバイルを使用できることが重要であると回答しています[2]。さらに、トラベラーは移動中にも定期的に接続できることを想定しており、旅行者全体の90%がホテルでのWi-Fiサービス、86%が空港でのWi-Fiサービスを期待すると回答しました。モバイルは一時のバブルでもなければ、ブームでもありません。今後も変わらず使用されるのです。そこで、業務渡航業界やTMCにとってこれが何を意味するかについて考えてみましょう。
モバイル戦略の力
この数年、カスタマーサービスは大きく様変わりしました。その流れは、デジタルコミュニケーションの形へと引き継がれています。メール、オンラインチャット、ソーシャルメディアなどを通じて、私たちはブランドが問題にいち早く対処してくれるよう期待しています。かつて、今ほど企業が顧客と対話し、顧客と意味のあるやり取りを交わせたことはありませんでした。この点でモバイルはブランドロイヤルティの構築に貢献できます。
ただし、優れたモバイル戦略とは、単にモバイルを導入することではなく、旅行者と旅行管理者が従来より対話を深めるよう促すあらゆる接点を通じた総合的なメッセージを意味します。貴社の企業に最適なモバイル戦略を創り出すためには、貴社の直面している課題について注意深く考えることが重要です。貴社、貴社の社員、そして貴社の顧客が更新のために活用できるプロセスは何か? モバイルテクノロジ-を改善することでいかにものごとを改善できるか?
課題から機会へ
モバイルについて考えたとき、トラベラーにとってのもっとも大きなフラストレーションは接続性、操作性、そして機能性です。つまり、これらの問題を考慮し、これらに対処する旅行管理企業はその成果を手にすることのできる可能性が高まります。予約時のモバイル利用数は飛躍的に増加したものの、基本的な利用しやすさや、性能の問題で、コンピューター利用数を上回ることはまだできていません。現在のところ、最大の課題は画面のサイズにあります。ビジネストラベラーの45%が、モバイルスクリーンは写真を見るのに小さすぎると答えています[4]。しかしながら、タブレットの利用数の増大や新型スマートフォンのサイズ展開によって、この問題は緩和されることでしょう。接続性もまた改善しつつあります。Wi-Fiを利用できるフライトの数が次第に増え、ビジネストラベラーにとって、もっとも重要なホテルの付随サービスがWi-Fiであると考えられるようになっています。しかし、34%のトラベラーが依然としてモバイルの接続は遅すぎると答えています[5]。機能性はフラストレーションを引き起こすもう一つの原因となっています。これらのことを頭に置くと、トラベラーの30%が現在のモバイルアプリは、コンピューターのアプリケーションほど使い勝手が良くないと感じていることも腑に落ちます。
従って、基本的な権限を入手すること、とりわけ、ビジネストラベラーの27%がブランドのモバイルアプリを使用したときにその操作性の良さに、予約に対する考えが変わったという事実を考慮することが不可欠です。業務渡航の次世代モバイルアプリは、事前対応型で、高度にカスタマイズされたものでなければなりません。多忙なビジネストラベラーにとって時間はかけがえのないものであることから、情報や時間節約サービスを提供するアプリへの注目度が高く、トラベラーの64%がモバイルにリアルタイムの旅行情報を求めていることがわかりました[8]。 チェックイン/アウトが可能なアプリ、および長蛇の列を回避できるアプリは依然として高い人気を誇ります。また、接続性の面でトラベラーが安心できる予測型アプリにも需要があります。空港内の両替所やATMと言った有用なサービスに案内してくれる詳細な空港マップアプリもまた、トラベラーの間で人気が高まっています。もうひとつの大きな機会は、予約時にポリシーに基づいてメッセージを表示するものです。たとえば、「ホテルXではコーポレート料金をご利用いただけます」などです。
完璧なバランスを実現する
業務渡航におけるモバイルには極めて微妙なバランスが求められます。トラベラーはアクセスやカスタマイズを求めるのに対し、旅行管理者は自社の出張に旅立つ社員の消息、安全性、費用などを追跡できる管理機能により強い関心を示すためです。
MTT(Mobile Travel Technologies:モバイルトラベルテクノロジー)によると、旅行者は自分に送信されるメッセージが自分に関連するものであり、彼らの旅をより順調にし、アップグレードなどのなんらかの「付加価値」が得られるのであれば、メッセージやアラートを受け取ることを厭わないことが分かっています。関連性とタイミングもまた、信頼性と対話性を形成するうえで重要な要素と言えます。プッシュ通知に代表される情報は、ビジネストラベラーの挙げる重要性のリストでトップに位置します。半数以上のトラベラーが、アップグレードオファーを高く評価している一方、1/3以上のトラベラーが、ビジネストラベルを最大限に快適に過ごせる空港やフライト上でのオファーに関心を持っています[9]。今日のトラベラーにとって、メッセージやアクションは簡潔で、即時に受け取れるものとなったことから、旅行のポリシーも簡潔かつ効率的にすることで、そうした流れを反映させることが重要です。
将来に向けて正しいアプローチを導入
最近のビジネストラベラーは、旅行管理者がどのように協業し、コミュニケーションを取るかという点で旅行管理者に影響する「オンデマンド」な情報を求めています。ソーシャルメディアを利用するトラベラーの数は右肩上がりで、トラベルプロバイダーと直接的な接点を持つ人も含まれていることがあります。そのため、旅行管理者がそれを考慮し、必要に応じてソーシャルメディアへのアプローチを取り入れられるようにすることが重要です。また、ビジネストラベラーの旅を快適にしたり、コンプライアンスや生産性を促進するモバイルソリューションを提供するトラベルプロバイダーや旅行代理店と連携することは、プラスにつながります。
旅行におけるモバイルという点で、旅行管理会社の直面する機会は多数あります。とりわけ、トラベラーとして、その期待は、現在この業界で提供されている実態をも上回ります。モバイルは私たちの多くにとって今後も、毎日の生活と切り離せないツールとして私たちのそばにあることでしょう。そのため、主要な課題へ対処し、ビジネストラベラーのニーズに合わせて作られたモバイルアプローチを全面的に取り入れようとする旅行管理会社は、そのメリットを必ずや享受できるはずです。
今このときもモバイルの世界は刻一刻と進化を続けています。中国製のモバイルメッセージングサービス、WeChatは4億5千万人の国内ユーザーと7,000万人もの国外ユーザーを抱えています。同アプリには、フライト検索、支払い、さらには、WeChat対応ホテルのルームサービスの注文までもすべて一か所でこなせる機能が備わっています。つまり、旅行企業のモバイル戦略には、そうした変化を反映する一貫した発展が求められるのです。
[1] 出典:CWT http://www.cwtinsights.com/about.shtml
[2] 出典:MTT – What business travelers want from mobile push notifications?
[3] 出典:MTT – What business travelers want from mobile push notifications?, Phocuswright Travel Technology and the US Business Traveler
[4] 出典:Phocuswright Travel Technology and the US Business Traveler
[5] 出典:Phocuswright Travel Technology and the US Business Traveler
[6] 出典:Phocuswright Travel Technology and the US Business Traveler
[7] 出典:MTT – What business travelers want from mobile push notifications?, Phocuswright Travel Technology and the US Business Traveler
[8] 出典:MTT – What business travelers want from mobile push notifications?, Phocuswright Travel Technology and the US Business Traveler
[9] 出典:MTT – What business travelers want from mobile push notifications?, Phocuswright Travel Technology and the US Business Traveler
