2024年が旅行業界にとって画期的な年だったとお考えなら、本番はまだこれからです。2025年に入って、旅行販売ではすでに大きな変化が起こっています。
流通をめぐる駆け引きが繰り広げられ、新たなビジネスモデルが大きな利益を生み出す一方で、ますます多くのディスラプター(新たなサービスやイノベーションを起こす企業)が次なる一手として旅行業界に注目しています。さらに、旅行業界におけるAIの真の可能性が明らかになる中で、ロボットの参入は続きます。
すべての指標が、旅行業界が転換点を迎えていることを示しています。変革がかつてないほどに広がる画期的な瞬間です。
金融やファッション、エンターテインメントなどの他業界はこの変革をすでに経験しており、これらの業界から、デジタル化による劇的な変革について学ぶことができます。
こうした、他業界からのアプローチを採用している世界最高の販売業者に目を向けることで、今日の消費者が抱く真の期待に応える旅行を提供することが可能となります。
トラベルポートは、世界中の2,100人以上の消費者に対し、他業界で目にしている変化について、消費者が好んでいる新しいもの(あるいは好まないもの)、もっと見たいもの、優れた販売体験の秘訣は何かを尋ねました。
結局のところ、旅行の購入者は、他の商品の購入者でもあるため、皆同様のサービスを期待しています。当社は、旅行業界が転換点を迎えていると考えています。そこで、この調査結果をもとに、今後数か月の間に大きな変化をもたらすであろう5つの主要トレンドを予測しました。
トラベルポート、世界中の
人以上の消費者に対し、他業界で目にしている変化について調査。
1.
グリーンウォッシュという言葉を耳にしたことがおありかと思います。ここでご紹介するのは「コンシューマー・ウォッシュ(見せかけだけの価値訴求)」です。これは、企業が、消費者の利益を装いながら、実は自社の利益を上げようとしていることを指します。
たとえば、LinkedInでは、「採用担当者のため」と称して、役職名を最新の状態にしておくことを求めています。これは、広告データとは一切関係ありません。また、Appleは、自社商品専用の(高価な)Lightning™️コネクタの充電器の方が性能が良い, と主張しているものの、現在標準となっているUSB-Cコネクタの方が2倍高速であり、これは消費者の利益というよりも、消費者を管理することであることがうかがえます。BMWは、シートヒーター機能を「サブスクリプションによる課金」で提供しようとして失敗しましたが、顧客はすでに購入済みの車に追加費用が発生することに反発しました。同社はそのアイデアをすぐに見直さざるを得ませんでした。
そして旅行業界を見てみると、ホテルでは、顧客にタオルの再利用を促すのは、環境保護のためであると主張することがよくあります。ですが、これはホテルにとってコストを削減するための非常に効果的な手段でもあるのです。
事例がどんどん増えていくにつれ、消費者もこのことに気づき始めています。当社では消費者に、この点において、旅行業界が他の業界と比べてどうであるかを尋ねました。人々は、航空会社、ホテル、旅行会社が、誤解を招くような価格設定によりコンシューマー・ウォッシュを行っていると考えています(44%)。また、それよりさらに誤解を招くものとされたのは、クレジットカード会社のオファーでした(45%)。
調査結果
旅行業界は転換点を迎えており、前進のための唯一の手段は、徹底的な透明性と顧客生涯価値の重視。
これが、長期的かつ商業的に持続可能な唯一のビジネスモデルです。他の小売業者を見てみましょう。IKEAでは、大人気の本棚BILLY/ビリーにはバスケットの別途購入が必要であることを隠していません。玩具のハズブロでは、電池は付属していませんと、はっきりと知らせています。さらに、ワカモレ(メキシコ料理のソース)は別料金であることは、誰もが知っています。
格安航空会社(LCC)は、表示されない料金でよく話題になります。しかし、実際には、LCCは、予約の多くの段階や旅程全体を通じて確認指示や警告を出すため、場合によっては従来の航空会社よりも、こうした情報にアクセスしやすい状態を作っています。一部のLCCでは、物議を醸す厳格な課金方針をブランドプロミス(顧客との約束ごと)と一致させるところまで進んでいます。「ケイビット・エンプター」、つまり購入者が商品の特性や価値を把握すべき、だということです。
LCCの料金体系は一般的にかなりシンプルですが、他方で従来の航空会社は、手荷物許容量(「大西洋横断便か、それとも域内国際便か?」)や変更手数料(「航空券の種類によって、25ドルまたは400ドルになることがある」)などについて、一貫性に欠けています。
しかし、非難を浴びているのは航空会社だけではありません。表示されないリゾート・フィーは旅行者にとってもうひとつの大きな悩みの種で、米国下院が現在、ジャンク手数料防止法案の制定を進めているほどです。
ここには、旅行会社にとって、問題が解決できる大きなチャンスがあります。
信頼できるアドバイザーとして、旅行会社だけが、人々が切実に求める透明性を提供できる立場にあるのです。データ拡張ツールを備えた旅行会社は、すべてのユーザーのために、オファーや料金を簡素化することができます。そして、消費者が必要とする徹底的な透明性を提供することができるのです。
新たな旅行販売では、条件や警告を隠蔽することはしません。重要なのは消費者に対して誠実であること、そして誠実さがロイヤルティを生むことを認識することです。旅行の場合、それが実際にはどのように見えるか以下をご覧ください。
避けるべきこと
収益源としての「ペナルティ」を課す。追加費用やリゾートフィー、清掃料金を隠したセットプランの表示。
専門用語だらけで、英語のみの利用規約ページの表示。
無関係なオファーのページを延々と見せて選択させること
ひとつのブランドのみ表示(直接販売)。
遅く、不十分なカスタマーサービスの提供
提供すべきこと
表示と実際の支払い金額を一致させて表示
初めから購入条件や変更ポリシーを明確に表示
ニーズに合ったオファーだけを整理して表示
明確で比較しやすい複数の選択肢へのアクセス
迅速で顧客中心のソリューション
2.
カスタマー・ウォッシュに精を出す企業がある一方、人々が本当に望むもの、つまり楽な暮らしを提供することでその心をつかんでいる企業もあります。研究によると、私たちの脳は理にかなったものに惹かれ、そうでないものには興味を失うそうです。新たな旅行販売業者の多くはこれを認識しており、ますます複雑化する世界で抜きん出るために利用しています。
金融サービスの領域で革命を起こしたVenmo、Monzo、Revolutなどはその例です。これらの企業は、より速く、より簡単に、そして、より楽に使えることによって、かなりの市場シェアを獲得しました。これらの企業の魅力は即座に送金が可能であることにとどまらず、AIを活用して数分でローンを組んだり、株の取引や暗号通貨を購入したりといったことも可能です。
の人が、5年前と比較し、新たな企業によって個人の財務管理が容易になったと回答。
の消費者が、フィンテックアプリ(金融領域とテクノロジーを組み合わせた便利なアプリ)によって財務管理の複雑さが軽減されたと回答。
現在、米国ではほぼ3人に1人がVenmoを利用しています。また、Revolutの最近の報告, によると、大手企業の間でのRevolutの人気の高まりは、「従来の銀行」は遅すぎる、と考ているからだといいます。一方、銀行は自社アプリを全面的に見直すことで、「勝てないなら仲間になる」というアプローチを取っているようです。しかし、英国やアイルランドなどの国での取り組みは、これまでのところ完全に失敗に終わっています。
今日の旅行業界は、5~10年前の銀行業界と同じような状況だといえるでしょう。フィンテックはしっかりとした体制を整え、5年前と比べてはるかにシンプルになっています。
旅行業界は別の方向に向かっているようです。トラベルポートの2024年の調査, で示されたように、人々は旅行販売をこれまでよりさらに複雑で、わかりづらく、いらだたしいものと感じています。
の旅行者が、旅行は10年前よりも複雑になったと回答。
旅行業界が得ることができる、ふたつの教訓とは
1. カルチャー(商習慣)とマインドセット(慣習)
銀行は、「デジタル・トランスフォーメーション」を、100年前から続くプロセスをアプリ形式に移行することだと捉えました。しかしディスラプター(新たなサービスやイノベーションを起こす企業)は、そのように捉えずに銀行の規定を捨て去り、何を変えるべきかについて、顧客中心の視点から考察しました。また、顧客体験の成否を左右する不便さを、些細なものまで徹底的に対処しました。規定や要件を段階的に提供することで順応しやすくすることなどがその例です。これらのサービスは、モバイルファーストで常に利用可能です。また、顧客体験のすべてが斬新で楽しく、GIFや絵文字まで使用可能となっています。
その結果、銀行のデジタル体験は単なる「最先端の銀行」ではありません。それは銀行取引のあり方を激変させるものです。
2. 徹底的な効率化
新しいテックスタック(あらゆる技術的資源)により、フィンテックアプリは、従来の銀行よりも多くのことを自動化し高速化を可能とします。これらのアプリは、さらに多くのデータやインサイトを顧客に提供します。また、利用者の基盤の拡大に対しても、クラウドネイティブのマイクロサービスアーキテクチャ(最新のソフトウェア開発法)を使用した迅速な拡張で、サービスの安定性を確保しています。
このAPI主導のアプローチにより、さまざまな機能の並行開発と展開が可能になり、新しい機能の提供が加速されるとともに、他の金融サービスとのシームレスな統合が実現します。また、旅行業界への進出など、さらに多くの分野へのリーチの拡大も可能となります。
旅行業界は、フィンテックがもたらしたような変革の時に向けて準備を進めています。
現在、流通エコシステムは複雑です。エアコンテンツはEDIFACTまたはAPI経由で利用できます。APIはNDCまたは非NDCです。NDCの実装には一貫性がありません。そして、今後10年間に、さらなる変化が訪れるでしょう。
新しいコンテンツタイプ。新しいデータセット。新しいオペレーティングシステム。皆さまのご認識の通りです。
その時が来たら、誰が従来型の銀行で、誰がVenmoとなるのでしょうか?これは、テックスタックの選択によって決まります。もしAPIを使いこなせず、クラウドベースのマイクロサービスを採用しておらず、NDCを導入していなければ、取り残されてしまうでしょう。信頼される新たな旅行販売業者にはなれず、従来型の銀行の座にとどまってしまうでしょう。
旅行業界は、フィンテックがもたらしたような変革の時に向けて準備を進めています。
3.
2024年後半、Apple TV は Amazon Prime の追加サブスクリプションとしての視聴を可能とする契約を締結しました。なぜ、2つの巨大な競合企業が手を携え、このような形でサービスを一緒に提供することにしたのでしょうか? 理由のひとつは財務的なものです。Appleはオリジナルコンテンツに200億ドル以上も費やしましたが、獲得できたのは、米国視聴者のわずか0.2%にすぎません。Netflixの1日の視聴者数は、Apple TV+ の1か月間の視聴者数を上回るのです。
もう1つの大きな理由として、選択不全が挙げられます。
私たちは今や、ストリーミングサービスを選ぼうにも、その数があまりにも多くなりすぎているという転換点に達しています。
ですが、これは旅行業界とどう関係があるのでしょうか?ストリーミング業界と同様に、旅行業界も新たなコンテンツの選択肢の爆発的な増加を経験しています。
これはNDCの結果として、また、航空会社が(当然のことながら)より多くの顧客を直接販売で獲得したいと考えていることから起こっていることです。選択肢が増えるのは素晴らしいことです。ですが、選択肢の多さが、選択肢過多に変わってしまう微妙なラインが存在しています。
消費者は、選択不全と選択肢過多というふたつのことに苦しんでいることが調査結果から明らかになりました。ひとつ目は、多数のオプションからブランドを選ぶのが難しいことです。ストリーミングサービスの例をとると、プロバイダーの数について消費者は次のように感じています。
の人がストリーミングサービスが多すぎると回答
の人がすべてをまとめたひとつのサービスに加入したいと回答
ふたつ目は、いざプロバイダーを決めてみると、利用できる選択肢の数の多さに戸惑ってしまうことです。これでは顧客体験にマイナスの影響を与えてしまいます。また、これにより、人々が厳選されたコンテンツに多額のお金をかけるようになった理由も説明できます。
の人が、ストリーミングチャンネルのコンテンツ量が多すぎると回答
の人が、コンテンツが自分の好みに整理されているサービスには、もっと多く支払ってもよいと回答
顧客ロイヤルティを築く最善の方法は、顧客がどこでショッピングをしようとも、顧客をつかまえることです。
だからこそ、Appleや Amazon Prime と同様に、大手旅行会社は流通に関してより柔軟に、これまでは考えられなかったような場所でも顧客がコンテンツを見つけて利用できるようにしています。最も意外に思える格安航空会社でさえ、コンテンツを開放し、OTAやTMCに提供する方向へと舵を切りつつあります。一方、世界最大手の航空会社の中には、その戦略を、よりバランスのとれたマルチチャネル戦略へと転換しつつあります。
それはなぜでしょうか?それは、顧客に直接販売する戦略だけに頼っていてはうまくいかないことを、身をもって知るようになったからです。
過剰供給の時代において、消費者は、選択を手助けしてくれる信頼できるパートナーを切実に求めています。十数種類のストリーミングプラットフォームの中から選択しなければならない業界がある一方で、400社以上の航空会社と数百万ものダイナミックオファーの中から選択しなければならない業界ではどうでしょう?やはり旅行業界は適応するしかありません。
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4.
サブスクリプションといえば、今ではほぼすべての業界でこのビジネスモデルが採用されているようです。当社の調査によると、ビールから自転車、書籍に至るまで成人のほぼ8割が何らかのサブスクリプションサービスを利用しています。主な魅力として挙げられるのは、時間の節約、費用の節約、利便性です。
旅行者の間でも、サブスクリプション利用の傾向が高まっています。
650万人を超えるプライム会員を抱える eDreams ODIGEO は、現在、全業界を通じて世界最大のサブスクリプションプログラムのひとつとなっています。昨年には加入者数が150万人近くも増加し、 2025年には会員数を725万人, にすることを目標としています。このモデルは現在、同社の収益や利益率に最も大きく貢献しています。
サブスクリプションプログラムは、投資家にとっても非常に魅力的です。これらのプログラムは収益を継続して安定的に提供し、景気低迷時には従来のビジネスモデルを上回る成果を上げる傾向があり、顧客生涯価値を大幅に向上させます。
当社では、消費者がこのコンセプトについてどう思っているかをもう少し深く掘り下げてみましたが、まず浮かび上がったのは、こういったものが存在することを実際に知っている人はそれほど多くはないということでした。
の人が、旅行サブスクリプションモデルの存在を知らなかったと回答。
その理由のひとつは、旅行ブランドはこれまで、顧客維持のために主にロイヤルティプログラムに重点を置いてきたためです。
しかし、調査結果によると、年に3回程度しか旅行しない人でも、このモデルに前向きであるということが明らかになりました。
eDreams ODIGEO のサブスクリプションプログラムの目標は、2025年に会員数を
万人にすること
年に3回しか旅行しない人の58%が旅行サブスクリプションサービスを検討する可能性があると回答。
Z世代は、他のどの年齢層よりも旅行サブスクリプションプログラムへの加入を検討する傾向が強かった。
35%の旅行者が、将来的には旅行サブスクリプションプログラムへの加入を検討すると回答。
レジャー分野におけるサブスクリプションモデルに関しては、OTAが航空会社のロイヤルティプログラムよりも優位に立てる可能性があります。消費者は、航空会社が直接運営するプログラムよりも、OTAのロイヤルティプログラムを好む傾向があります。
また調査結果によると、登録することにより独占的な特典や、お得な情報・キャンペーンへの早期アクセス、割引価格などが得られるのであれば、複雑なサブスクリプションプランであっても、人々はより高い料金を支払う意欲があることがわかりました。
「航空会社のロイヤルティプログラムよりもオンライン予約プラットフォームのロイヤルティプログラムを好む」
さらに、OTAの方であれば、Googleやアドテック(広告テクノロジー)企業によって課せられる顧客獲得コストの増加についてもよくご存知のことと思います。パフォーマンスマーケティングのハムスターホイールはますます大きくなっているようですが、広告費が長期的なロイヤルティにつながるのかについては疑問が残ります。
つまり、2025年には旅行サブスクリプション分野にさらに多くのOTAが参入する可能性があるということです。でも、ちょっと待ってください。人々は選択肢が多すぎることを好まないと述べたばかりですよね。サブスクリプションサービスが大量に増えると、人々はさらに混乱するだけではないでしょうか?
違う角度から見てみましょう。これまでのところ、転換点が来ることを察知して素早く行動して、600万人近くのサブスクライバーを獲得したブランドはひとつしかありません。しかし、旅行者はまだ数十億人もいます。
ストリーミングサービスは、どれも同じような種類のコンテンツを提供していますが、旅行業界には、ラグジュアリートラベルからバーゲンハンター, まであり、付加価値を高める方法としてキュレーション(情報の整理)に重点を置くことにより、参入できるニッチな分野がまだたくさんあります。
調査によると、旅行サブスクリプションサービスに前向きな人がますます増えていることが明らかです。つまり、限られてはいるものの、より多くの旅行会社がこの取り組みに参加できるチャンスがあるということなのです。
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5.
この10年間は、かなりの数の技術系の「ゲームチェンジャー(ものごとの流れや状況を一変させる人や企業)」が登場した時期でした。
そして、2024年はAIの年となりました。ChatGPTの突然の出現は、お決まりの反応ながら、メディアと投資家の関心の爆発的な高まりを呼び起こしました。あらゆる会議のパネルセッションでその登場を喜ぶ声が聞かれ、LinkedInはその可能性についての話題で大いに賑わいました。そして、私たちは、ブロックチェーン(暗号通貨で使われた分散型のデジタル台帳の技術)やバーチャルホリデー、Web3(第三世代のインターネット)から乗り換えたという事実は私たちがあえて無視する、数多くの「AI専門家」に囲まれることになりました。
ただし、今回はただの過度の盛り上がりではありません。AIは本物です。
では、消費者はAIについてどう感じているのでしょうか?当社の調査結果から、消費者の考えは懐疑的だった状況から信頼と好奇心へと大きくシフトしていること、また、早期導入者も多数いることが明らかです。
また、他の大半の業界よりも、旅行業界の責任あるAIの活用に消費者が信頼を寄せている、というのも心強い調査結果です。
の人が、旅行業界の責任あるAIの活用に信頼を寄せていると回答。
の頻繁に旅行する人が、旅行業界の責任あるAIの活用に信頼を寄せていると回答。
これまでのところ、話題となっているのは、消費者向けの旅程表や、カスタマーサポートでのAIの活用についてでした。OTAはこういった目的で、新たな生成AIの使用に多額の投資を行ってきましたが、昨年のその結果には当たり外れがありました。とはいえ、Googleですら使いこなせずに苦労しているのです。
そういった中でも、大きな変革に向けて急速に進んでいる兆候があります。今年、AIにおいて変革をもたらす3つの大きな動きが予想されます。
1. 旅行の新たな機会の発見に役立つビッグデータ分析
生成AIが本当に優れている点は、時間を節約すること、複雑なデータを迅速に分析する点です。
新しい地域にホテルを開業する場合や、航空会社がキャパシティ・プランニングの改善を目指すような場合、数百もの航空会社と数千ものホテルにわたる旅行行動を収集、解釈、予測する包括的なAI搭載のレポートツールを利用できるようになります。
トラベルポートは、まさにそれを実現する生成AIデータツールのベータ段階に入っています。直近5年間の履歴データにもとづいて、ロンドン・ヒースロー空港(LHR)からドバイへの9月の平均搭乗者数をグラフ付きで見たいですか?
簡単です。大規模言語モデルに2つの文章を入力するだけで実現可能となります。
2. 旅行業界におけるGoogleの優位性が揺らぎ始める可能性
Open AIのChatGPT 検索が登場し、世界は新たなタイプの検索を体験できるようになりました。
それは、イライラしながら孤独にGoogleで情報を検索することに対し、双方向で自然に進化する会話のように感じられる検索体験です。手作業で検索して最適化された検索エンジンにより、上位にランキングされたウェブページをクリックすることが、数年後にはばかげたもののように感じられることでしょう。
Appleがストリーミングの波に乗り遅れたように、GoogleもAIゲームに遅れをとり、提供されたGeminiというサービスは、かなり期待以下のものでした。
しかし、問題はそれだけではありません。ChatGPT検索は、資本力や技術力以上の深い関係をMicrosoftと築いています。Bingのインデックスツール(検索結果をデータベース化するツール)とクローラー(Webサイトを巡回するツール )を使用しているのです。
そのため、照会結果やチャットツールが増えるとともに、Bingウェブマスターツール(webサイトのアクセス状況を解析するツール)を使いこなす旅行会社が増えていくことが予想されます。
手作業による検索は、
そして最後に、見落としてはいけないことは
3. NDCの課題解決に役立つ、AIを活用したコンテンツ・キュレーション
NDCとコンテンツの選択肢の爆発的な増加は、近年、旅行会社にとって大きな課題となっています。この問題を解決するために、トラベルポートは昨年、AIを活用したコンテンツ・キュレーション・レイヤー, を発表し、旅行会社コミュニティから熱烈な支持を受けました。
2025年のこれからについて見据えると、これは、NDCとマルチソースコンテンツの管理のためのソリューションとなり、コンテンツの選択やオファーの爆発的な増加に関して顧客が抱える課題を軽減していくことになるでしょう。
外から眺めてみれば、旅行業界の転換点がすぐそこまで迫っているのは明らかです。長年かけて積み上げられてきた複雑な技術、流通に対する近視眼的な決定、硬直的な顧客対応といったことにより、今や業界は混沌のまっただ中にあります。
しかし、これを悪いことだと捉えないことです。そこには、非常に大きなチャンスも存在しているのです。
最大の利益は、先を見通す力、早期にイノベーションを起こす力、そして新たな旅行販売を成功に導く力を持つ人々に与えられるでしょう。それを実現するには、他分野のイノベーターや遅れをとる企業から学び、人々が本当に最も必要としているものを見極めることです。
このような変化の中で、変わらないことがひとつだけあります。それは、重大なリスクを伴う購入において、選択肢を見極め、複雑さを乗り越えようとする顧客に対し、旅行会社が提供できる価値です。
トラベルポートは、旅行会社こそが、旅行に関する総合的な販売ソリューションを提供するのに最適な立場にあると強く信じています。ベストな選択肢をひとつの便利な場所で提案し、複数ブランドのショッピングについて顧客をサポートできるのは、旅行会社だけなのです。こうすることで、消費者は、ショッピングに何時間も費やしたり、価格比較に悩まされたりすることなく、消費者自身の利益を真に最優先にした最高のショッピングができると確信することができるのです。
当社は、2025年が旅行会社にとって真に輝く年になるだろうと考えています。転換点が近づく今、問われること、それは「備えはできていますか」ということです。
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