What this article talks about
- AIモデルだけでは十分ではありません。アクセス制御、オーケストレーション、信頼性、そして実際に予約可能なコンテンツを制御するプラットフォームこそが成果を決定づけます。
- 最新のインフラが、統合データ、標準化、運用の負担軽減、そして拡張性のあるNDC統合によって、旅行業界の複雑さをどのように解消するのか。
- AIが、データ品質、パーソナライゼーション、そして信頼性の高い自動化を実現するために、強固なプラットフォーム上で「強化レイヤー」として機能する仕組み。
「AIが活用される旅行業界において、誰が勝者となるかは、その基盤となるインフラによって決まるでしょう」とトラベルポートのNDCオファー&オーダー担当ディレクター、Tracey Hempstock氏は語ります。
本ブログシリーズでもすでに触れたように、AIはおすすめの提示や旅行計画の立案、さらにはリスクの低い業務の自動化に優れています。
しかし、真の差別化を生み出すのはプラットフォームです。プラットフォームは、販売者や旅行者を複雑さから守り、実際に予約可能なコンテンツを管理するとともに、AIの活用を可能にする基盤でもあります。
ソーシャルメディアはわたしたちに影響を与え、旅の着想をもたらします。
AIは新たな発見を可能にし、詳細な旅程やさまざまな選択肢を提示します。
しかし、商業的な成果を決定づけるのはプラットフォームとインフラです。コンテンツへのアクセス、表示の偏り、そして商業的な優位性を左右するのもまた、これらの基盤です。
トラベルポートが大切にしているのは、プラットフォームビジネスです。
プラットフォームこそが、あらゆる価値やサービスを支える中核基盤なのです。
アクセス、オーケストレーション、安全性:「航空管制」のような役割
プラットフォームは商業的な成果にどのような影響を与えるのでしょうか。
プラットフォームを航空管制に例えてみましょう。航空管制は、どのフライト(コンテンツ)が空域に進入し、最終的に着陸できるかを管理しています。
それらがどこで、いつ現れるのか、そしてすべてが安全かつ円滑に所定の位置へ導かれるよう調整しています。
航空会社やその他の旅行事業者が魅力的なオファーを提供していても、アクセスや流れ、順序付けを実現するのはプラットフォームです。そして、それによって旅行会社や旅行者が最初に目にするものが決まるのです。
身近な小売業の例で言えば、プラットフォームはスーパーマーケットの陳列棚のようなものです。適切な商品(どのような基準で選ばれるかは別として)が消費者の目線の高さに配置されることで、関心を引き、結果として購入につながる可能性があります。
目に留まりやすいことは、商品の品質と同じくらい重要です。
同様に、AIは関心や発見を増幅し、人々の期待感を高める一方で、プラットフォームは最も新鮮な食材を使って料理を作り、それを提供し、会計を行い、代金を受け取るまでの一連の流れを支えているのです。

基盤レイヤー:複雑さを整理する
当社のお客様、そしてその先にいる旅行者にとって、トラベルポートの価値は、コンテンツへの優れたアクセス、オーケストレーション、信頼性、そして使いやすさを提供するプラットフォームとインフラにあります。
過去3年間にわたる投資と開発により、当社のプラットフォームは、統合されたデータアクセスと処理を通じて、拡張性のあるAI対応の旅行商品流通を実現しています。
この「基盤レイヤー」は、断片化されたNDCやその他のコンテンツを集約し、正規化および標準化します。
これにより、お客様は複数の直接統合、異なる仕様、さらには複数の外部ITプロバイダーを管理する必要がなくなります。
旅行業界は極めて複雑な環境ですが、当社のプラットフォームはその複雑さを解消します。
また、「運用上の保護」として機能し、業界の断片化、APIの違い、仕様のアップグレード、社内ITチームやサードパーティのテクノロジープロバイダー、航空会社による継続的な変更、さらには統合後の保守管理といった負担からお客様を守ります。
航空会社との直接統合は複雑です。
複数のAPI、テクノロジープロバイダー、そして仕様の違いによる断片化のため、自力で対応するアプローチは非効率であり、大規模な運用を維持することは困難です。
一方、トラベルポートのNDCプラットフォームは、120項目以上のNDC機能チェックを含む厳格な実装基準により、データの品質、一貫性、完全性を確保しています。
その結果、より信頼性が高く、一貫した顧客体験を提供できます。
さらに重要なのは、当社のプラットフォームが、統合されたすべての航空会社にわたり、スケジュール変更やイレギュラーな運航への対応といった重要な機能を大規模に提供できることです。
これは、他のプロバイダーでは部分的にしかサポートできない領域です。
また、当社のインフラは、航空会社との契約に基づき、公平性と偏りのないコンテンツ表示も実現しています。
表示内容は航空会社との契約に基づいて管理されており、商業的な偏りではなく、運賃フィルターなどの客観的な基準に基づいて提示されます。
トラベルポートのアーキテクチャは、信頼性と拡張性を確保するために最適化された、モダンで将来を見据えた設計です。
では、なぜこれらすべてがそれほど重要なのでしょうか。
それは、こうした特性こそが、AIがその能力を最大限に発揮するために必要な基盤となるからです。

顧客の視点:UNIFIFI
UNIFIFIは、旅行代理店と、航空会社やGDSシステムが提供する世界中の航空コンテンツを結びつけるプラットフォームです。
AIを意思決定の主体ではなく支援ツールとして活用し、プラットフォームによる制御や中核となる流通ロジックを置き換えることなく、業務プロセスを強化しています。
共同創業者兼COOのAfra Wang氏は次のように述べています。「当社はユーザー中心の流通モデルを採用しており、法人顧客やOTA(オンライン旅行代理店)といった顧客タイプや、柔軟性、価格、付帯サービスといった具体的なニーズに基づいてコンテンツを最適化しています。」 UNIFIFIは、過去のデータや行動インサイトを活用して関連性の高いコンテンツの絞り込みと優先順位付けを行い、処理速度、コンバージョン率、そして全体的なユーザー体験を向上させています。
また、コンテンツの流れを動的にオーケストレーションおよびフィルタリングすることで、すべての選択肢を一律に提示するのではなく、適切なオファーを適切な顧客層に届けることが可能になります。
AIは自動化とパフォーマンスを向上させることができますが、その能力を最大限に発揮するには、堅牢で最新のインフラ上に構築されている必要があります。 脆弱なシステムやレガシーシステムでは、AIのパフォーマンスが制限されてしまいます。
Afra Wang氏(UNIFIFI 共同創業者兼COO)
同氏によれば、AIは問題を積極的に特定・解決することでインフラを強化し、システムの安定性、APIのパフォーマンス、信頼性の維持に貢献できるとのことです。
ただし、制御権はあくまでプラットフォームが握っています。
「AIはあくまで支援ツールであり、意思決定を行うものではありません。 AIは効率性を高め、新たなインサイトを提供します。例えば、偏りのないランキングやより明確な流通ルールを可能にすることで、公平性と透明性を支えます。
しかし、AIは現実世界の状況を完全には把握できず、適切に機能するためには基盤となるシステムやデータに依存しています。
コンテンツへのアクセス、標準、そしてリアルタイムデータは依然としてプラットフォームが管理しており、AIはそれらに依存しているのであって、それらを置き換えるものではありません。」
強化レイヤー:AI
UNIFIFIのAfra Wang氏が指摘するように、AIはコアプラットフォームの機能を補完・拡張する「強化レイヤー」として捉えるのが最も適切です。
AIは、新たなビジネスチャンスを発掘し、よりパーソナライズされたオファーを創出するとともに、適切に設計されたチャットボットによる高度な検索からNDCスキーマのアップグレードの実現まで、幅広い領域で効率性の向上に貢献します。
しかし、AIはあくまで基盤となるプラットフォームのデータの完全性と構造に全面的に依存していることを常に念頭に置く必要があります。
UNIFIFIでは、ユーザー中心のコンテンツオーケストレーションに重点を置いており、顧客のタイプ、行動、ニーズに基づいてどのコンテンツを表示するかを決定するのはプラットフォームそのものです。データに基づくフィルタリングを活用し、最も関連性の高い選択肢を提供しています。
一番重要なのは、現在の目的に適したプラットフォームであると同時に、よりクリーンで構造化され、信頼性の高いデータを提供することで、将来のAI活用を支える基盤を築くことです。これは、AIによる正確なパーソナライゼーション、自動化、意思決定に不可欠な要素です。
現在、AI分野では驚異的な進歩が見られています。
しかし、脆弱な基盤の上にAI機能を構築しても、その価値を十分に引き出すことはできません。結果として失敗や時間、コスト無駄につながりかねません。
重要なのは、基盤となるプラットフォーム、中核となるGDS、そして統合とオーケストレーションを可能にするデータの整合性です。
将来のあらゆるサービス、そしてそれらがもたらす商業的な成果は、高速かつ正確で信頼性の高い旅行データに依存することになります。
本記事は、AIが旅行業界をどのように変革しているかを探るブログシリーズの第3回です。 次回のブログでは、「Amplified Agent 」というコンセプトを取り上げ、なぜ「人間による判断+AI」が競争優位性につながるのかを解説します。
